民事信託で節税ができると語る専門家が時々おりますが、
はっきり申し上げておきます、民事信託で節税はできません。
(例外的に事業承継の場面では節税につながる場合があります)
節税にはなりませんが、相続トラブルをさける対策としては非常に有効です。
日本の税制は実態主義、受益者負担が原則とされています。
契約形態や文言などに関係なく、実際に利益を得る者が税金を納めるということです。
民事信託における登場人物は大きく三名と言いました。
信託をお願いする委託者、
信託をお願いされる受託者、
利益を得る受益者の三名です。
①委託者
委託者は財産を差し出すだけですので、基本的には税金を課されません。
②受託者
お願いされて財産の管理運用を任されているだけですので、やはり基本的には課税されません。
ただし、信託財産が不動産であった場合、登録免許税、固定資産税などが課される場合があります。
③受益者
委託者が存命の場合、委託者=受益者とする契約が多いようです。
この場合、実質的に自分の財産から利益を得るわけですから、
個人であれば所得税、法人であれ法人税が課税されることになります。
委託者が存命中に受益権を受託者に譲った場合は贈与税、委託者が亡くなってから相続によって
受益権が受託者に移った場合は相続税が課せられることになります。
登録免許税や固定資産税に多少の減免措置はありますが、民事信託のスキームの中で
何らかの利益が出たり、何らかの理由で財産の移転があった場合、受益者に普通に課税されると言うことは覚えておきましょう。
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