家族信託の基礎知識10

家族信託では、受益者に対して税金がかかってきます。

 

日本の税制は受益者負担が大原則ですので、財産の名義や契約の内容にかかわらず、

実際に利益を手にする者が税金を負担することになります。

 

通常、家族信託をスタートする段階では、委託者(財産を持っている人)と受益者(利益を得る人)は

イコールであるケースがほとんどです。

 

信託された財産が賃貸アパートで、そこから得られた利益を受益者が受け取ったとすると、

受益者は所得税を負担することになります。

信託していたとしても、自己で所有している場合と同じだけ所得税は課税されます。

 

当初の受益者が亡くなり他の人に受益権が移った場合、この場合は相続税が課せられます。

賃貸アパートの場合、アパートの相続税評価額が受益権の評価額となりますので、

賃貸アパートそのものを相続した場合と税の負担は代わりません。

 

受益者が亡くなっていないのに、受益権を他の人に譲ると贈与税が課税されます。

贈与税も所得税、相続税と同じように、信託財産であるか否かに関わらず、

財産を贈与した段階で贈与税の課税対象となります。

 

所得税、相続税、贈与税ともに普通に課税されると言うことです。

*信託財産が不動産であった場合、登記簿上の名義変更にあたって登録免許税(軽減税率)が課税されます。

 

家族信託を利用しても節税にはなりません。

しかし、一方で、財産管理を適切に行い、その管理、運用、処分をスムーズにできるようにする効果があります。

 

家族信託を利用することで、万が一認知症などを発症した場合でも、

受託者が中心となって、相続対策を進めることが出来ます。

直接的には家族信託に節税効果はありませんが、間接的には節税に貢献できると言えるかもしれません。