最近、家族信託という言葉をよく聞くようになりました。
テレビなどでも取り上げられ、認知症対策や相続対策のひとつの手段として語られています。
家族信託とはいったいどのようなものなのでしょうか。
その前に、成年後見制度についてお話する必要があります。
成年後見制度は、認知症などにより判断能力が低下した人を法的に保護するための制度で、
この制度を利用すると、成年後見人が付き、本人にかわって契約行為や財産の管理を行うことになります。
よく考えられた制度ではあるのですが、弱点もあります。
成年後見制度は、本人の生命財産を守ることが目的ですので、
余程の理由が無い限り、持っている資金を投資運用に廻したり、自宅を売却したりなどということは出来ません。
孫のために教育資金をだしてやるとか、結婚式の費用を援助してやるなど、
普通のおじいちゃん、おばあちゃんだったらかわいい孫のためにやってあげるだろう事も
できなくなります。
そこで、にわかに注目を集めているのが、家族信託という制度です。
登場人物は3人です。
財産の管理をお願いする人(財産を持っている人)=委託者
財産の管理を任される人=受託者
財産から生み出される利益を享受する人=受益者
委託者がおとうさま、受託者が息子さん、受益者はお父さま、基本型にはこんな感じです。
判断能力が下がってきたお父さまに代わって息子さんがお父さまの財産を管理し、
利益はお父さまに還元するという仕組みです。
たとえば、お父さまがアパート経営をされていたとすると、息子さんがおとうさまに代わって
アパート経営に携わり、賃貸人の募集や管理、修繕などを実行していきます。
そして、得られた家賃から必要経費を差引いた分でお父さまのデーサービスの費用をまかなう、
こんなイメージです。
登場人物、管理する財産、登場人物が死亡した場合の取り決めなどにより、
家族信託はさまざまな形態に分かれます。
明日からは、事例を交えながら家族信託の実際についてお伝えして参ります。
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