相続分の放棄

相続の場面で時々聞く話です。

 

オレは一銭もいらなかいから、他のみんなで遺産は分けてくれ。

 

これで本人は相続放棄をしたつもりになっているケースが多々あります。

相続放棄は昨日のブログに書いたとおり、家庭裁判所への申述書の提出が必要で、

かつ、家庭裁判所がそれを受理しないと成立しません。

 

オレは一銭もいらないからと言っているのは、単に相続分の放棄をしているにすぎないのです。

 

たとえば兄弟3人A、B、Cで1,200万円の遺産を分けるとしましょう。

均等に分ければ4,000万円づつです。

 

Aが一銭もいらないと言っているとしたら、BとCが6,000万円づつもらうことになります。

 

このあと何事もなければこれ終わりですが、あとあと個人が大きな借金を残していることが判明すると事情が変わります。

借金取りは相続人のところへやってきますので、一銭もいらないと言っていたAのところへも

やってくるのです。

 

Aはただ単に相続分を放棄したに過ぎず、相続放棄の手続きを済ませていないのですから、

私は相続放棄をしているというAの主張は認められません。

 

相続分の放棄と相続放棄とは全くの別物なのです。

 

ちょっとした勘違いで大損をするということもありますので、

相続放棄するにしてもしないにしても、プロに相談されることをお勧めします。