棄てられる不動産

かつて日本には、土地神話というモノがありました。

 

土地さえ持っていれば、一財産築く事が出来た時代です。

毎年のように土地の価格は上昇し、10年前に買ったマンションが倍の値段で売れたなんて話も聞いたことがあります。

高度経済成長期、バブル期はまさにそんな感じでした。

 

ところが、人口減少時代に入り、地方は著しく過疎化が進んでいます。

毎年40万人超の人口が減っている計算になりますが、

これは、毎年岐阜市(人口40万人)がひとつ無くなっているのと同じことです。

 

ここまで急速に人口が減るとなると、不動産も余ってくるということは誰にでも容易に想定できます。

 

都心に住んでいる子が親が住んでいた田舎の家を相続した、

会社勤めの子が親が営んでいた田んぼを相続した、

 

こんなケースでは、相続した不動産が棄てられるということが起こっています。

 

相続をしても相続登記をせず、だれが相続したのかもわからなくなる。

共有で相続した場合、所有権の押し付け合いの挙げ句、行方をくらますなどと言うこともあるようです。

 

不動産は持っているだけで、毎年固定資産税がかかります。(場合によっては都市計画税も)

売れるものならすぐにでも売りたいのでしょうが、

そう思っている人は周りにたくさんいるわけで、

結局、処分もできずに、次の相続をむかえます。

 

孫の代になると、そんな土地や建物があることすら知られなくなります。

そうすると、その土地や建物は本格的に棄てられた不動産となります。

 

最近、空き家の問題がクローズアップされています。

ただ、もっと深刻なのは農地です。

 

米作農家の平均年齢は70歳と言われています。

あと10年もすれば、多くの米作農家が引退を迫られる年齢になるのではないでしょうか。

その時こそ、棄てられる不動産は深刻化するものと思われます。