家族信託の基礎知識6

家族信託は、遺言書と同等もしくはそれ以上のパワーがあります。

 

遺言書では、財産をどのように分けるか自分の財産についてしか書けません。

つまり、子供たちに相続した財産は、それを子供たちがどのように使おうが勝手です。

 

一方、家族信託では、設定した受益権の行き先を何代にもわたって決めることができます。

 

Aさんが亡くなったら息子のBさんを受益者とする、Bさんが亡くなったらその子供Cさんを受益者とするという

家族信託を組んだとしましょう。

これは、法的に成立しています。

 

ところが、Bさんに兄弟Dさんがいたらどうなるでしょうか?

Dさんは、Aさん、つまり親が亡くなっても財産が一銭も入ってこないということになってしまいます。

これではDさんは怒りますよね。

 

遺言書でさえ遺留分を認めているわけですから、

家族信託によって、Dさんが一切相続できなくなるとしたら、はいそうですかとはなかなかもの申せないですよね。

 

しかしながら、Bさんは相続により受益権を得たのでは無く、

Aさんとに信託契約により受益権を得たに過ぎないと解釈することもできます。

そうなりますと、相続の話ではなくなってしまいますので、Dさんは遺留分すらないということになります。

 

実は、実際には判例も少なく、はっきりと定まった解釈が無いということが本当のところです。