農地の相続

最近、都心に住むサラリーマンが農地を相続するケースが増えています。

田舎で年老いた親が農家を営んでおり、子たちは皆、都心へ出てサラリーマンをやっている、

そんな話は良く聞きます。

 

ただ、農地の相続は宅地の相続と違い、ちょっと厄介です。

 

まず、農地を相続したら農業委員会へ届け出をしなければなりません。

農業委員会への届け出は、相続を知ったときから10ヶ月以内と決まっています。

相続人がサラリーマンの場合、おそらく農業を引き継げませんので、そのような場合は

農業委員会を通じて農地を借りてくれる人、耕作を手伝ってくれる人を探さなければなりません。

 

相続人全員が農業を引き継ぐ意思が無い場合は、売却するという話になります。

しかし、農地は勝手に売買ができません。

農地を売却する方法は2通り、農地のまま農家へ売却するか、農地以外に用途変更をして売却するかです。

 

農地のまま売却する場合、農業委員会の許可(3条許可)が必要です。

買主が現役の農家であるか、これから参入しようとしているかなど、一定の条件を満たす必要があります。

 

農地以外に用途変更して売却する場合も、農業委員会の許可(第5条許可)が必要です。

この許可には、立地基準と一般基準というものがあり、細かな条件が付されています。

 

立地基準では、農業振興地域内や市街化調整区域内で特に良好な営農条件を備えた農地などは

原則、用途変更ができないとされています。(けっこう厳しいですよね)

 

農業も引き継げない、でも用途変更も出来ないとなると、相続放棄を考えたくなります。

 

しかし、農地だけを相続放棄することは出来ず、他の財産も相続出来なくなります。

仮に、相続人全員が相続放棄をしたとしても、相続財産管理人を選任するまでは

相続人が農地を管理しなければなりません。

 

こうなってくると、ただでも良いので近隣の農家に農地を引き取ってもらう、と言うことになるのでしょうが、

近隣の農家も高齢化が進み、引き取っても耕作ができないので、結局は引き取れないということになるようです。

 

実家が農家で農地を持っているという場合は、用途変更できる農地なのか、

売却見込みがある農地なのか、など、あらかじめ調べておく必要がありますね。